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水利権と大井川への誇りの喪失 [環境]

tonnbi3.jpg トンビの「あゆ」ちゃんは,今日はいつもより、空高く高く飛んでいます。空高く飛んでいるせいか、塩郷ダムから、大井川鉄道笹間渡鉄橋までの大井川の流れが見えています。鵜山の七曲りが、本当の鵜のように見えています。
トンビの「あゆ」ちゃんは、平成20年、今年も年末になり、4月からのウオッチングした大井川の感想を「まるお」さんに聞いてみました。

suirikenn11.jpg電源開発や、食糧増産と言う国全体のことを考えて良かれと思い国(当時は県)が昭和33年に許可した水利権の結果、塩郷ダムと笹間川ダムができ、そのダムの下流には、大雨が降らなければ、一滴の水も流れなかった。大井川、笹間川、部落内の小川は、水が流れない期間が30年近く続いた。水利権の許可期間の30年だ。
この写真は、現在塩郷ダムに掲げられている水利権を示す、平成31年3月までのものである。
川根温泉笹間渡部落の飲み水は、ダムができ、確か2年ぐらいで、出なくなった。
「まるお」さんの父親が部落の区長をしていたので、飲み水の確保について、県に相談に行くとのことを今でも、変なことだなーとして覚えている。

sasamagawad3.jpg町の水道の蛇口をひねっても、飲み水がコップに一杯にするのに30秒かかるようになり、もう黙っては、いられないと立ち上がり、飲み水返せ運動をした。しかし、水利権は、巨額な電源開発投資に基づく財産権だ。また、水は、農業用水、工業用水、都市の飲み水とすでに必要量が分けられている現実。
川の流域住民が飲み水にこと欠く状況を見て、当時の知事が政治家としての心を動かし、長島ダム建設の課題もあり、ようやく、返してくれた水が、今、流れている。この上の写真は、笹間川ダムに掲げられている、水利権を示すものである。

siogou4.JPG平成元年4月24日、県と中部電力との間で、「大井川流況改善に関する協定書」と細目覚書が結ばれた。それは、塩郷ダムで、3月20日から12月5日まで、毎秒5トン、12月6日から3月19日まで、3トン。笹間川ダムで、0,2トンである。
この写真は、平成20年10月26日の塩郷ダムからの放流の状況、5.60トン



silikenn1.JPGこの写真は、平成20年12月10日の塩郷ダムからの放流の状況、3.43トン







平成元年の協定に基づき流れている、大井川、笹間川の平成20年4月から12月までの、ウオッチングの感想を述べる。

hokorio7.JPG大井川に人間の飲み水は戻ってきた。しかし、魚たちの水はまだ戻っていない。水の少ない大井川の魚を狙って、鵜が家族ぐるみでやってきている。魚は、水が少なく浅瀬で、隠れるところもない。こんな話が納得できる水の状況である。
写真は、12月18日、水の代わりにダンプが砂利を運ぶための道路が作られたのか。魚が安住できない。





hokoris1.JPG笹間川は、川周辺のお茶の木には水が戻ってきた。しかし、大井川と水が繋がることもほとんど無く、まだ死んだ川だ。この写真は、放流する水が少なく、大井川に届かず、途中で干上っている笹間川。夏期間もほとんど同じ。





hokorio5.jpg笹間渡部落の飲み水は、現在でも、川を挟んだ抜里から、大井川鉄道の鉄橋を借り、もらい水の状況だ。
この写真で、赤い色の大井川鉄道の鉄橋に、黒く見える物が、水道管だ。





昭和33年に大井川に水利権が許可されてから50年、大井川に何が起こったか
それは、大井川に誇りを失いつつある川根の人々を生んできたこと。

水の無い30年と維持流量の目的さえ実現できない、水の量が少しも改善されないで、協定数値、そのまま20年も流れている川を見て、川根の人々は、どうせ死んでしまった川で、見る価値も無い、今後に希望の無い川だと思ってきている。
50年もの間、死んだ大井川を見てきた人々は、ふるさとでの暮らしに誇りを失い、自信喪失になりつつあると言う。
すでに、60歳以上の人しか、大井川や笹間川の楽しい思い出が無くなりつつある。川に楽しい思い出の無い父親が、川に楽しい思い出の無い子供に、ふるさとでがんばれと言うだろうか。
平成元年の協定維持流量で、あと10年もそのまま推移するなら、間違いなく、長男もふるさとを離れていくことになるだろう。
そうすれば、人による手入れが無くなり、大井川流域の自然環境は、破壊していくことになるだろう。あと10年は、待て無い状況だ。
水利権を許可した国、県は、このことを重く考えるべきと思う。

tettkyoutosou.jpgこの大井川鉄道第一橋梁は12月に塗装して綺麗になりました。この鉄橋を停年になった電車がSLだけでなく、懸命に走っています。この鉄橋は、昭和5年の日本が困難な状況の中実現したものです。
今、国では、今後20~30年の河川整備計画を策定準備する大井川流域委員会が始まった。委員の皆様も是非、現地を自分の目で見ることをお勧めします。

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